ミカンの謎解き
植物研究家 吉川益夫
調査場所 鹿児島県曽於市(そおし)
ミカンはどのような仕組みになっているのだろうか?
ミカンの皮を剥くと外皮(オレンジや黄色)の内側に白いふわふわしているものがある。白いふわふわしている内側に円形に袋が並んでいる。その袋の中にまた小さな袋がもの凄くぎっしりと詰まっている。
では、外側からそれぞれの名称を確認してみよう。外側のオレンジまたは黄色の外皮がフラベド、白いふわふわしたのがアルベド、円形に並んでいる袋状のものが「じょうのう」、じょうのうの中に入ってる小さな粒々を「砂じょう」という。
下の写真を見て下さい。円形に並んでいる薄皮に包まれた部分が「じょうのう」、じょうのうの中にぎっしり詰まっている小さい粒が「砂じょう」である。
さて、リンゴ、モモ、カキは可食部が1つであるが、ミカンは可食部が数え切れないほど沢山の袋(じょうのう+砂じょう)から出来ているように、作りが非常に複雑である。
視点を変えると、リンゴ、モモ、カキは1つの花から1つの可食部が出来ているが、ミカンは1つの花から数え切れないほどの袋から可食部が出来ている。
では、ミカン1個の粒(砂じょう)の数はどのくらいだろうか?
ミカンの1房(じょうのう)に含まれる粒(砂じょう)の数は、品種や大きさによっても異なるが、だいたい200~400粒くらいらしい。従って、ミカン1個の袋(じょうのう)の数を15個(※)とすると、ミカン1個の粒(砂じょう)の数は3,000~6,000粒という膨大な数になる。(品種等によっても異なる)
※じょうのうを紹介している上の写真の袋(じょうのう)は15袋である
ここで考えてしまった。3,000~6,000粒という膨大な数に栄養はどういうルートで届けられるのだろうか?
粒々に栄養を届けているのは常識的に考えて維管束であろう。維管束はどこを通っているかというと、下写真の中心部にある①腹側維管束は袋(じょうのう)数だけの本数があり、2つ目が各袋の背側を走る写真③の背側維管束でこれも袋数だけの本数があり、複雑な維管束のネットを張っているようだ。もう1つは袋と袋の間にある写真②のガク片維管束でこれも袋数だけの本数があるようだ。
ミカンの皮を剥くとどのように維管束が走っているか見てみよう。ミカンの外側に着いている白い筋が維管束である。維管束が大分千切れているので少なく見えるが、もっと複雑に維管束が走っていたことが推測できる。
上の写真のミカンを剥いた皮側を見たのが下の写真である。中心がミカンの生り口(果実が枝についている部分)で、維管束がここから放射状にミカンの袋の外側を走っている。上の写真と下の写真の維管束を足し合わせると維管束が緻密なネットワークで繋がっていることが分かる。
このことから、上記で説明した背側維管束とガク片維管束は繋がっていることが分かった。実際は腹側維管束とも繋がっているようである。
では、粒々(砂じょう)はどこから、どのように栄養を貰って大きくなったのだろうか?下の写真を見て下さい。各粒はミカンの外側の維管束に繋がっているようだ。
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