ハスの花に魅了される
植物研究家 吉川 益夫
調査場所 鹿児島県曽於市
熊本県宇土市
宮崎県三股町
曽於市財部町の願成寺に「歌で曽於市を元気にする会」の件で打合せに行ったら、水鉢にハスが植えてあった。ハスは仏教にとても大切な花ですから願成寺にも植えてあったのでしょう。
残念ながら伺ったのが午後だったので花は咲いてなかったが、蕾がとても綺麗だったのが忘れられません(上の写真)。この世のものとは思えない美しい蕾でした。
因みに、お寺に植えてある品種は「重水花(じゅうすいか)」、「原始ハス」、「金輪蓮(きんりんれん)」の3種ということでした。
その後、ハスの花に魅了されて2カ所のハスの花を見に行ってきたので紹介します。
(基礎知識)
ハス科 ハス属 インド原産
多年性水生植物
地下茎を食用(レンコン)にする系統と、花を楽しむ系統がある
花を楽しむ系統の地下茎はあまり太くならず、食用に向かない
開花期:6月~8月
別名:古代ハス、水芙蓉(すいふよう)
まず最初に「古代のロマンの花」と言われている大賀ハスの花を見てみよう。
大賀ハスは、千葉県の古い地層から種が発見され、大賀博士が発芽・成育に成功したハスで、2,000年の眠りから覚めた「世界最古の花」で、美しいピンク色の花です。
ハスの花は「泥の中に育っても美しい花を咲かせる」と言われているように、多くの人を感動させています。
ハスの花も色々な種類があるようです。白色、白色で縁だけがピンク色の花もありました。白系のハスの花も清楚な感じがしていいですね。
3つ目の花を見て下さい。中央に変な形のものがありますね。後で説明します。
さて、ハスの花は知ってる人が多いですが、葉っぱがどんな形をしているか知っていますか?正確に知ってる人はあまりいないのではと思います!
それでは見てみましょう。丸い形をしており、どこも裂けていないのが特徴です。また中心部はほぼ真ん中にあり、この中心部から放射状に葉脈が広がっています。
葉っぱにはまだ面白いことがあります。葉脈の1本だけが異なっています。何が違ってるのかな?下の写真を見て下さい。葉脈の1本以外は葉脈が途中で枝分かれ(矢印)しています。しかし、波線の葉脈だけは枝分かれしていません。この枝分かれしていない葉脈は中央脈と言います。またこの中央脈の先端には突起があります。この中央脈以外の葉脈には先端に突起がありません。面白いですね。
丸い葉っぱの蕾はどんな形をしているか知っていますか?ボールのような丸い形ではないかと思っていませんか?では見てみましょう。縦長で中央に丸く畳み込まれています。これが少しずつ開いて丸い葉っぱになっているようです。因みに、中央の上の葉脈が中央脈ですので、先端に突起があります。
果実をもう少し詳しく見てみましょう。花托の穴の中にある丸っこいのが果実です。
それから、花托が蜂の巣状になっていますね。これが蜂の巣に似ていることから「ハチス」となり、これが略されて「ハス」という名前になったようです。
下の写真は花托の穴から果実を取り出したものです。この果実の果皮が厚く硬いので、土の中で発芽能力を長い間保持することが出来るのです。この保持能力のお陰で大賀ハスは2,000年後にも発芽し、大賀ハス(古代ハス)を私達に見せてくれているわけです。
この食用にするハスの実は、熟したものではなく青いうちに収穫するそうです。
また、ベトナムでは正月前であったことから、ハスの花の正月飾り(写真下)が見られ、ベトナムらしさを感じた次第です。
この美しいハスの花は8月一杯咲いていますので、ぜひ花・葉などの観賞にお出かけ下さい。
今では大賀ハスが全国あちこちで栽培されているようですが、他のハスの花粉と受精してしまい、交雑種が生まれてるところも多くあるようです。この交雑種が大賀ハスという名前で広がっているとのことです。このため、大賀ハスと言われていても本来の大賀ハスではなく、大賀ハスの交雑種であることが多くなっていることに留意して下さい。
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