初めての食用ショウガの花に感動
植物研究家 吉川益夫
調査場所 鹿児島県 曽於市(そおし)
10月25日、義理姉が松永政子さんから貰ったと喜びながら固い感じの花穂(下の写真)を持ってきた。「これは何だー?」と質問する。うぅーん、見たことがないぞ。しかし、何かに似ているぞー。「ハナシュクシャ(花縮紗)」だと答えた。「残念、違う。食用ショウガ(以下、「ショウガ」という。)だよ。」と教えてくれた。ショウガの花を見たことがないので、この花穂を研究用に貰った。
ショウガの花は見たことがないので、どうしても花が見たい。ネットで片っ端から調べたらショウガの花は、日本では滅多に咲かないので、非常に珍しいらしい。日本で咲いたショウガの花は極わずかしかないようだ。ただし、この花穂状態まではまれに生育するようだ。
ショウガは熱帯アジア原産の多年生草本で、熱帯のタイではショウガの花が咲くとのことだったから、この蕾を花瓶に挿して暖かい部屋で観察することにした。花は固い苞で包まれているので、花が咲くには相当なエネルギーが必要と思われる。観察を続けるが、なかなか花の咲く気配がない。根がないので花が咲くのは無理だろうか?
11月2日午前10時、苞の中から蕾が一つ出ている。ひょっとしたら咲いてくれるのではと胸を膨らます。
11月2日午後3時30分、萼の中から花弁が見えた。どうやら咲いてくれそうだ。
全体は下の写真のとおりで、小さな葉2枚で何とか花を咲かせようと頑張っている。
11月2日午後3時50分、やっと花が咲いた。へぇー、これがショウガの花なんだ。もう大感動である。
花を正面から見るとこんな感じである。
この後も花は次から次に咲き始めた。下の写真のとおり、11月2日・3日に咲いた花も4日には閉じている。
今回は花瓶での観察であったからか、ショウガの花は午後遅く開き、夜早めに閉じてしまった。つまり、花はわずか3~4時間ほどで閉じてしまった。畑では、熱帯地方では何時間ほど咲き続けるのだろうか、気になるところだ。
義理姉が育てているショウガ畑に花穂がないか調べたらあった。畑ではこのような状態である。畑で花が咲くのを見たいので観察したが、なかなか咲かない。
気がついたかと思うが、花穂は葉をつけている茎(正式には偽柄)とは別に地下茎から茎(正式には偽柄)を出している。上の写真ではまだ小さいせいか、花穂をつけている茎には葉がない。
しかし、花瓶に挿した茎には葉がついていた。花瓶に挿した茎は他のものよりとても大きかったことから葉が出たものと考えられる。上の写真の花穂のついた茎ももっと大きくなれば葉が出て来るものと推察される。
花の構造はどうなっているのだろうか?花は白い3枚の萼(▲)、えんじ色3枚の花弁(○)、それと中央に突き出ているえんじ色1枚(⇒)がある。萼(外花被)と花弁(内花被)が3枚ずつあるのは簡単に理解できるが、中央に突き出た⇒が理解できない。調べてみると雄しべが花弁の形に変化したものではないかとある。つまり、本来は無かったが、後で進化によりできたものであるので分かりにくい。
雄しべと雌しべは小さくて今回は解明できなかったが、中央に突き出た⇒の中に入っているものと思われる。調べるとショウガ科の花は雄しべが6本あるとのことである。
花が咲き終わった後の花穂の構造を調べてみよう。苞をぐっと開いたら中心の花を囲むように苞は外側に位置していることが分かった(12月2日)。嬉しいことに、苞をぐっと開いただけでショウガの香りがプーンとしてきた。
いいね‼️素晴らしいですよ😃
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