ルドベキアの花の作り
植物研究家 吉川益夫
調査場所 鹿児島県曽於市
調査年月 2024年6・7月
○基本情報
キク科 オオハンゴウソウ属
北アメリカ原産
別名:アラゲハンゴンソウ、マツカサギク
開花期:6月~9月
★始めに
(調査視点)
①花の作り(構造)はどうなっているか?
②花が何個あるか?
③外側の黄色の花弁は何個あるか?
④萼はどうなっているか?
★花の作り(構造)
上の写真は1つの花と思いますか。桜の花弁数は5枚と決まっているように、外側の黄色の花弁も同じ数だろうと思いますね。
では調査して行きましょう。
全ての萼と外側の黄色の一部の花弁を除いて見やしくしました。拡大して見ると沢山の花で構成されているようです。
キク科の特徴で、花弁は外側の黄色の花(舌状花)と中心の茶色の花(筒状花)の小花が沢山集まって頭花(一つの花のように見える花序)を作っています。小さくて分かりづらいですが、いずれの小花も両性花とのことです。
★筒状花
さて、ルドベキアの筒状花は小さくて分かりにくいので、もう少し細かく見てみましょう。下の写真を見ると細長い筒状の形をしています。また、数が相当沢山あるのが分かります。この小さな筒状の小花がそれぞれ1つの花です。これで花の中心は小さな筒状花が沢山集まっていることが分かりました。
もう少し詳しく調べましょう。下の写真で筒状花が下側から咲いているのが分かります。筒状花の先に黄色の花粉(↓)があります。つまり、この小さな筒状花には雄しべがあったということで、一つの花だということが分かりました。
★舌状花
一方、外側の黄色の舌状花は鮮やかで昆虫をおびき寄せる役割を持っています。花の根元がどうなっているか詳細に見てみましょう。1枚の花弁が根元では筒になっているようです。これも1つの花です。外側の黄色い舌状花が中心の筒状花を囲んで、美しい頭花を構成していることが分かりました。
はて?花弁数は同じ数ではなかったですね。1株の花を調査しているのに、何故こんなに舌状花の数が違うのだろうか?もっと調査を進めよう。
えぇー、下の写真は舌状花が13枚見えますので、舌状花が13個ということです。
今回の調査では7・8・9・10・13・14個の舌状花を探すことが出来ました。こんなに舌状花の数が異なるということは全く想像していませんでした。何故こんなに異なるのだろうか?多くの文献を調べましたが、舌状花の個数について調査したのは一つもありません。
結論として、舌状花はそれぞれが一つの花ですので、舌状花が固定数である必要はないということが推察できます。
★中間まとめ
①ルドベキアの花は舌状花と筒状花から構成されている。
②一つの花に見えた頭花の花数は100個以上である。
③1株の舌状花はそれぞれが一つの花ですので、舌状花が固定数である必要はない。
★萼の役割
花の下に隠れている萼はどうなっているのだろうか?殆どの人が見たことがないと思います。下の写真を見ると萼が多いということが分かりますね。100個以上の花をまとめて支えているのだから沢山の萼がないと支えられないと推察できます。
下の写真は蕾です。花は萼にしっかり包まれています。萼は、蕾の時は花を保護する役割を持っているのが良く分かります。また、花が咲いた後は花全体を支える役割があります。
因みに、この写真の萼を見える範囲で数えたら25枚ありました。見えないのもあるでしょうから26枚以上はあるということが推察されます。
丸くなっていた舌状花が伸びながら開き出しました。萼も外側から開き出しています。萼には毛が沢山生えているのが分かります。この毛は害虫から守る役割だけでなく、ウィルス、細菌などを守る役割や撥水(水をはじく)の役割を持つ大事なものです。
★最後に
ルドベキアは強い植物ですのでとても育てやすいです。それに花数が多く、品種も多いので豪華、かつ様々な花を楽しめます。また、暗い梅雨の時も生き生きと咲いており貴重な花です。ぜひ庭にルドベキアを栽培して楽しんで下さい。
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