クチナシの花の不思議

 

植物研究家 吉川益夫

調査場所 鹿児島県曽於市

調査年月 2024年6月


▼クチナシ(梔子)の花はどのように咲くのか見てみましょう。まず蕾です。緑色で覆われています。緑色の萼に覆われているのかな?
おや、蕾の下に細長い緑色のものが複数あります。細長いのは何だろう?

▼蕾が少し膨らみ始めました。緑色が淡い緑色に変化し、白色も見えてきました。蕾は真っ直ぐではなく渦巻き状になっています。上の写真の蕾を拡大してみても渦巻き状になっており、蕾の時から渦巻き状になっていることが分かりました。蕾が渦巻き状に規則正しく折り畳まれているのは、収納の効率性、強さ等を考慮しているようです。
それから、淡い緑色と白色は繋がっているのだろうか、繋がっていないのだろうか?

▼蕾が少し開いてきました。よく観察すると、淡い緑色と白色は繋がっているようです。一つ疑問が解決しました。そして萼と思っていた淡い緑色と白色は花弁のようです。

▼では複数あった細長い緑色のものは何だろうか?これは萼のようです。萼は蕾を保護する役割、花全体を支える役割があるのですが、クチナシはあまり保護しているようには思えませんね。


▼次の疑問は、花弁と萼は何枚あるのだろうか?数えてみたら萼6枚、外側の花弁6枚ありました。よく観察すると、6枚の花弁は元の方は繋がっています。つまり一つに纏まった花筒になっています。よって途中から6つに分かれているので6裂と表現します。なお、6裂ですが花弁数は6枚と数えます。
このクチナシは八重咲きですから、外側の花弁6枚以外にも花弁が多数あります。外側の花弁は本来の花弁で、その内側にある花弁は雄しべが変化したものです。

▼ところで外側の花弁の緑色はどうなったのでしょうか?緑色のままなのでしょうか?
下の写真を見ると緑色の部分が大分小さくなってきています。

▼下の写真は緑色の部分が殆ど消えたようです。このように花弁の緑色は時間とともに消えていくことが分かりました。

▼殆どの花は、時間とともに色が変化していきます。クチナシはその代表ではないかと思います。花色は、白色⇒クリーム色⇒黄褐色⇒茶色と変化しますので興味がありましたらお楽しみ下さい。

▼最後に、クチナシの花は綺麗なだけでなく、ジャスミンに似た南国風の甘い香りを放ちますので、昔から日本人に親しまれています。
私も一輪挿しをしてみました。最初は庭で(下写真)、その後部屋に飾りました。甘い香りがプーンと漂ってきて気持ちがリラックスします。クチナシの香りは、気持ちを落ち着かせて穏やかにする効果があるようですので是非体験して下さい。


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