身近なニワゼキショウ(庭石菖)に感動

   植物研究家 吉川益夫

  場所 鹿児島県曽於市末吉町


ニワゼキショウはどこにでもあり珍しくないこと、花が小さく目立たないことから、注意深く見ることはほとんどなかった。しかし、ある日、2種類の花があることに気付いた。そして、よく観察すると両方ともとても綺麗な花である。少し詳しく見る価値がありそうだ。

(基本情報)
アヤメ科 ニワゼキショウ属    一年草
原産地:北アメリカ
高さ:10〜20cm

花は1日花で、花色は紫色と白色の2種がある。花被の中心は黄色、そのまわりを濃い紫色の斑紋が囲み、その外側に紫色の脈がある。

花は基部で互いにくっついて短い筒になっているが、花弁は6枚に分かれている。さらに気がついたことは、花被片の下部は寸胴である。

ニワゼキショウに興味を持ったので、さらに調査を続けていたら面白いことに気がついた。花弁6枚は同じ大きさではなく少し違っている。幅の広いものと狭いものがあることが分かった。幅の狭いのが本当の花弁で、広いのが萼片らしい。もっと詳しく観察したら、狭い花弁には3本の紫の脈があり、広い萼片には5本の紫の脈があるではないか。これは面白い。

ニワゼキショウの花を裏から見るとどうなっているのだろうか?左が白色・右が紫色の花である。どちらも花裏は白色で、そこに脈が見える。白色の花の方が紫色の脈が濃く、紫色の花の方が薄いことが分かった。また、花裏の脈はくっきりしていることから、花裏から紫色の3本・5本の脈を数えやすいことも分かった。本当に面白いなー。

さらに調査していると、花被片が淡青色の少し違う花を見つけた。よく似た仲間のオオニワゼキショウ(大庭石菖)である。特徴はニワゼキショウより丈が高く、花は小さく、それに花筒がくびれる傾向がある。また、蒴(さく)果(乾燥果で裂開する果実)はニワゼキショウより大きいようだ。

ニワゼキショウは日本古来の花だと思いがちですが、意外にも外来種なのである。 身近にあるので、もう日本に馴染んでしまってるようだ。
ニワゼキショウは小さい花だが、とても綺麗で魅力的な花だ。皆さんの身近にあるので、是非手に取ってじっくり見て下さい。きっと素晴らしさに感動するはずです。

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