コブシとモクレンの違い?

  
    植物研究家 吉川益夫

  調査場所  鹿児島県曽於市

似ているものにコブシ(辛夷)とモクレン(木蓮)があります。違いが分かりますか?たぶん何となく分かる程度ではないかと思います。では少し詳しく調べてみましょう。

コブシもモクレンも同じモクレン科モクレン属です。

モクレンには、紫の花を咲かせるシモクレン(紫木蓮)と白い花を咲かせるハクモクレン(白木蓮)があります。シモクレンは花色が紫で区別が簡単ですが、ハクモクレンとコブシは花が同じ白色で区別が難しいです!

まず花弁・萼を詳細に調べてみましょう。

▼コブシは、写真のとおり大きな花弁が6枚、小さな萼が3枚です。


▼コブシの萼がどのように付いているか知りたいと思いますので、花の後ろから見てみましょう。赤丸のところに小さく細長い萼が3つあり、花弁よりかなり小さいことが分かります。

▼モクレンは、大きな花弁が9枚(うち◎印の3枚は萼)で、萼は花弁化しています。

つまり、コブシは花弁6枚・萼3枚、モクレンは花弁9枚という違いがあります。

次は、葉を調べてみましょう。

▼コブシには葉が1枚あります。


▼モクレンには葉が見当たりません。

つまり、コブシは葉が1枚、モクレンは葉0枚という違いがあります。

この他、コブシの花はモクレンより小さいとか、 コブシの花は横に広がり、花弁が完全に開く、モクレンの花は上向きに開花し、花弁が完全に開くことはないというような違いがありますが、例外等があり判断が難しいことがあります。 

このため、明確な違いは花弁数、萼数、葉の有無といえます。

▼ついでにコブシの雌しべと雄しべを紹介します。

まず、コブシもモクレンも花托にらせん状に多数の雌しべと雄しべが付いています。とても面白い付き方です。

(コブシ)花托の上部にあるのは雌しべ、下部あるのは雄しべです。

一般的には雌しべは1個が多いのですが、コブシは雌しべの数が多いのが特徴です。


▼雄しべの一部を剥ぎ取って分かり易くしました(横に倒してあります)。雌しべと雄しべの付き方が良く分かるかと思います。

▼殆どの人が雄しべの表と裏は見たことがないと思いますので、表と裏を比較してみましょう。表側は白色でしたが、裏側は紫色で下部が濃くなっており、表と裏の違いに気が付きました。

コブシとモクレンの見分け方が分かったと思います。機会がありましたらこれらの観点から観察してみては!きっと楽しくなるはずです。まだまだ面白いことがありますが、長くなりますので今回はこれで終わります。


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