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やっと巡り会えたシロバナホトケノザ(白花仏の座)

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     植物研究家 吉川益夫        調査場所 鹿児島県曽於市 シソ科 オドリコソウ属   一年草 原産地:アジア、ヨーロッパ 別名:サンガイグサ(三階草) ▼一般的に見られるホトケノザ(仏の座)は花の色が紅紫色で、皆さんもどこかで見たことがあると思います。 図鑑など調べると花期は3~6月となっていますが、曽於市では1月から咲いています。 上の写真のホトケノザは、春の七草であるホトケノザ(別名:コオニタビラコ)とは異なりますが、何故かこれもホトケノザと呼ばれています。同じ名前が2つあると間違いやすいので、別名のサンガイグサで呼べばよいと思うのですが、別名で呼ばれることはことは殆どないようです。 春の七草である同名のホトケノザは食用になりますが、こちらは食用には向いていません。 ▼ホトケノザという名前ですが、これは葉が茎を囲むようになっている様子が、仏の蓮華座に似ていることから付けられたようです。 ▼さて、今回はどこでも見られる紅紫色のホトケノザではなく、滅多に見ることができない白い花のシロバナホトケノザ(白花仏の座)を紹介します。私は10年間探し求めて、やっとシロバナホトケノザに出会うことが出来、本当に嬉しかったですね。 ▼拡大してみると、清楚な白色の上唇と下唇があり、上唇は帽子のような形で、下唇は3裂(左右と下側)しており、下側裂片はさらに2裂し、面白い形をしています。上唇の内側に赤色~オレンジ色の花粉が見えアクセントとなっています。 ▼ また葉、花弁全体には毛が沢山付いています。 ▼(参考)ホトケノザの花には、蕾のまま開花せず受粉する閉鎖花(花を開くことなく自動自家受粉する)という性質もあるそうです。当然この閉鎖花にも種子は出来ます。花が咲いても咲かなくても種子が出来るとは本当に効率が良いですね。  注:最後の写真は「なかなかの植物ルーム」より抜粋 (最後に)滅多に見ることができないシロバナホトケノザは、紅紫色のホトケノザの白花変種とされています。花色だけではなく、葉や茎の緑色も、少し薄いのが大きな特徴のようです。 この清楚な珍しいシロバナホトケノザに皆様も巡り会えることを祈りながら失礼致します。

コブシとモクレンの違い?

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       植物研究家 吉川益夫   調査場所  鹿児島県曽於市 似ているものにコブシ(辛夷)とモクレン(木蓮)があります。違いが分かりますか?たぶん何となく分かる程度ではないかと思います。では少し詳しく調べてみましょう。 コブシもモクレンも同じモクレン科モクレン属です。 モクレンには、紫の花を咲かせるシモクレン(紫木蓮)と白い花を咲かせるハクモクレン(白木蓮)があります。シモクレンは花色が紫で区別が簡単ですが、ハクモクレンとコブシは花が同じ白色で区別が難しいです! まず花弁・萼を詳細に調べてみましょう。 ▼コブシは、写真のとおり大きな花弁が6枚、小さな萼が3枚です。 ▼コブシの萼がどのように付いているか知りたいと思いますので、花の後ろから見てみましょう。赤丸のところに小さく細長い萼が3つあり、花弁よりかなり小さいことが分かります。 ▼モクレンは、大きな花弁が9枚(うち◎印の3枚は萼)で、萼は花弁化しています。 つまり、コブシは花弁6枚・萼3枚、モクレンは花弁9枚という違いがあります。 次は、葉を調べてみましょう。 ▼コブシには葉が1枚あります。 ▼モクレンには葉が見当たりません。 つまり、コブシは葉が1枚、モクレンは葉0枚という違いがあります。 この他、コブシの花はモクレンより小さいとか、 コブシの花は横に広がり、花弁が完全に開く、モクレンの花は上向きに開花し、花弁が完全に開くことはないというような違いがありますが、例外等があり判断が難しいことがあります。  このため、明確な違いは花弁数、萼数、葉の有無といえます。 ▼ついでにコブシの雌しべと雄しべを紹介します。 まず、コブシもモクレンも花托にらせん状に多数の雌しべと雄しべが付いています。とても面白い付き方です。 (コブシ)花托の上部にあるのは雌しべ、下部あるのは雄しべです。 一般的には雌しべは1個が多いのですが、コブシは雌しべの数が多いのが特徴です。 ▼雄しべの一部を剥ぎ取って分かり易くしました(横に倒してあります)。雌しべと雄しべの付き方が良く分かるかと思います。 ▼殆どの人が雄しべの表と裏は見たことがないと思いますので、表と裏を比較してみましょう。表側は白色でしたが、裏側は紫色で下部が濃くなっており、表と裏の違いに気が付きました。 コブシとモクレンの見分け方が分かったと...

「六つ子椿」の原因解明

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  植物研究家 吉川益夫   観察場所  鹿児島県 曽於市 前回の「六つ子椿」のブログを知った人が、我が家にも大きな「六つ子椿」があったと言って、枝ごと持ってきて下さいました(上の写真)。前回の椿の花とは色が少し違い品種は異なるようです。 また、ブログを見て「何故このような「六つ子」になったのか?」との問合せが何件かありましたが、残念ながら答えることが出来ませんでした。「うぅーん、何故だろう?」 花を拡大したのが下の写真です。雄しべと小さな花弁がごちゃごちゃしており、どうなっているのかサッパリ分かりません。しかし何となく「六つ子」みたいであります。 雄しべがどうなっているか分からないので分解してみました。下の写真は半分に割った片方です。4つに分かれているようです。 下の写真は別の片方です。2つに分かれているようです。両方併せると6つに分かれています。 普通の椿は雄しべがどうなっているのでしょう?つまり本来はどのような形で雄しべは構成されているのかを確認しておきましょう。下の写真のように多数の雄しべは中心の雌しべを丸く囲んでいます。(中央に雄しべより短い雌しべが見えます) では何故このように6つに分かれたのか?分解した花をよく観察して見ましょう。 写真の上側は、雄しべの外側が花弁に変化しているのが分かります。 写真の下側は、雄しべと雄しべの間が花弁に変化して、雄しべを分断しているのが分かります。 結論は、6つに分かれたのは雄しべが花弁に変化して、その花弁が雄しべを分断したから「六つ子」に見えたということです。 因みに、この椿の大きな花弁は13枚あり、立派な八重椿になっています。また、雄しべより少し長いぐらいの花弁は沢山有りましたので、花弁数は数十枚あるようです。 多くの人の協力により「六つ子椿」の原因が分かりホットしました。有り難うございました。