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ハナトラノオ(花虎の尾)は面白い

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        写真・執筆:吉川益夫  シソ科ハナトラノオ属の宿根草 庭に咲くハナトラノオを観察していると、美しいだけでなく、とても興味深い花だと気がついたので紹介します。 夏に咲くピンクの花で、すらりと伸びた姿が美しい。 「花虎の尾」の名前は、美しい花が虎の尾のように見えることから。 花期が長く、初夏から秋まで長く楽しめる貴重な花です。 園芸品種ですが、繁殖力が旺盛なので人家近くで半野生化しています。 花を観察すると、縦に4列に並んでいること、下から順番に咲くことが分かります。 この花は下側が終わり、上側だけに咲いていますので、もう後半と言えます。 詳細に観察すると、各列の花が同時に咲かないことに気がついた!ある列はどんどん花が咲いていますが、ある列はなかなか咲かず、まだ蕾のままです。へぇー、一緒に咲かないで、こんなこともあるのだ!色んなパターンがありますので、機会があったら観察して下さい。 花穂は茎の頂上だけにあるのかと思っていたら、下の対生の葉腋からそれぞれ花柄が出ているではないか!葉腋から出た花穂は、頂上の花穂より小さく、遅れて咲くことが分かります。 おやおや、これは片方の葉腋からしか花柄が出ていないぞ!基本は対生する葉の両腋から出ますが、まれに片方からしか出ていないのもあります。 次は花を見てみましょう。萼も花弁も筒状になっています。 花弁を開いて見ましょう。不思議なことに4本の雄しべと1本の雌しべが花弁の上唇にくっついています。雄しべ、雌しべは上唇に支えて貰っているのでしょうか。 上唇をもっと詳しく見てみましょう。ピンクの脈(花脈)があり綺麗ですね。前述したとおり、雄しべ4本と雌しべ1本(中央)がくっついています。 次は、下唇をもっと詳しく見てみましょう。下唇にはピンクの斑点があります。目立つようにして、昆虫をおびき寄せるネクターガイド(蜜標)の役割を果たしているのでしょう。拡大すると分かり易いです。 萼をもう少し詳細に見てみましょう。筒状で5裂しています。 葉は長楕円形で縁がギザギザと尖った形です。葉の付き方は対生で、90度ずつ交互につきます。つまり整然と十字に対生します。 別名:カクトラノオ(角虎の尾):茎の断面が四角になっているため。豆知識;シソ科の茎は四角となっています。 細かいところまで観察すると、一つは面白いことに...

イワタバコは、こんなに綺麗だった!

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     写真・執筆:吉川益夫    撮影場所:鹿児島県曽於市     イワタバコ(岩煙草)は、直射日光が当たらない湿気の多い岩壁に多く見られる多年草の植物で、曽於市でも何か所かに生息しています。なお、花期は6月~8月です。 今までは「綺麗な花だなー」と思っていただけでしたが、今年初めて本当の美しさを知ったような気がしました。 (これからは、私の知る限りどの書籍にも掲載されていないようですのでお楽しみ下さい。) 上の写真を見ると、「花が綺麗ですね」で終わりです。おや、よく見ると花の中心にオレンジ色が見えるぞ?もっと大きくして見たいですね。拡大したのが下の写真です。 花は星形で、中心に5個のオレンジ色が見えます。これは花弁が5裂しており、各花弁の元にオレンジ色の斑紋があるからです。 この鮮やかな斑紋は蜜標で、昆虫に蜜の場所を教える標識の役割を持っています。 もう少し拡大したのが下の写真です。オレンジ色の斑紋は丸くなっているようです。このオレンジ色の外側は五角形の星形状に白くなっており、その外側が紫色になっています。 つまり、花全体が五角形の星形で、色は外側から紫・白・オレンジの3色で、白は五角形の星形、オレンジは5個の丸を形取った家紋(梅の花)に似ており、これらが美しさを一層際立たせているのではと思います。 では、花の仕組みはどうなっているのだろう?なかなか花の内部は見にくいです。分解しましたが、小さくて非常に分かりづらいです。 よく見ると萼、花弁は5裂で、雄しべ5本、雌しべは1本です。それが下の写真です。少しピンボケしていますので、拡大してみて下さい。(やっぱり分かりにくい⁈) ついでに蕾を見てみましょう。薄紫色で五角形をしているのが面白いです。 花を一枝持って帰り、分解した後に残ったのを勿体ないので生け花にしてみました。 如何だったでしょうか?花を細部まで見ると、また違った別の花のように見えるところが面白かったのではないかと思います。 それに現在放送中でありますNHKの朝ドラマ「らんまん」を彷彿させるようで、ドラマと二重に楽しんで頂けたら幸いです。