モミジアオイ(紅葉葵)の不思議
写真・執筆:吉川益夫 暑くなったらモミジアオイが私の出番だと言わんばかりに生き生きと咲き出しました。アオイ科・フヨウ属で、大輪の花を咲かせるハイビスカスやフヨウの仲間です。 名前の由来は、葉が5つに裂けており、その形がモミジ(カエデ)に似ているため、モミジアオイと呼ばれるようになったようです。本当にモミジの葉に似ていますね。 蕾を観察していたら不思議な形をしているなぁーと思いました。何が不思議かというと、萼の回りに細い髭みたいなのが沢山あることです。小苞葉と言いい、数えたら13枚ありました。見れば見るほど不思議な形をしています。なお、萼は5枚あります。 花が咲きました。鮮やかで大きな赤色は見応えがあります。花びらは5枚で、他のフヨウ属の花に比べると幅が細く、重ならならず、花びら間が空いてるのが特徴です。 花の中央には長い蕊柱(ずいちゅう:雄しべと雌しべが合着したもの)の先近くに雄しべ、先端にあるのが雌しべです。雄しべと雌しべがくっついて途中まで1つになってるのも不思議です。雄しべが途中から分離していること、雌しべの柱頭が5つに分かれ、先端が丸くなってるのも不思議ですね。 花を観察していると沢山の蟻がいました。何故こんなにいるのだろう?不思議ですね。たぶん花蜜を取りに来ているのだろう。蟻を見るときは、拡大して見て下さい。 夕方(5時頃)になったら萎み始めました。豪華な花だからもっとゆっくり見たかったのですが、たった一日でしぼむ一日花とは勿体ないような気がします。しかし、ぱっと咲いてぱっと散る潔い花にはなぜか魅了されますね。幸いなことにモミジアオイは花つきが良いので、次々に花を咲かせ長い期間花を楽しませてくれます。 花がしぼむと赤い大きな花びら・雌しべ・雄しべは一気に落ち、中央に子房だけが残っています。子房の形を見ると見事な5角形です。このため果実が熟すと5裂し、中に丸い種子が多数入っています。 何か気がつきつきましたか?そうです。萼、花びら、雌しべの柱頭、子房、葉が5に関係していましたね。植物ってとても不思議ですね!