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不思議な花?

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 植物研究家 吉川益夫 調査場所 鹿児島県曽於市末吉町 5月3日、義理姉から「変わった花が庭に出てきたので見に来て!」と連絡があった。急いで調査に行くと、「うぅーん、地面から直接花が咲いているではないか。見たことがないぞ。不思議な花だなー。何だろう?」 写真の上側にある植物と繋がっているのだろうか?根を調べてみよう。地面を少しずつ掘ってみると、花の下に茶色の太い根茎(赤矢印)があった。さらに調べると茶色の太い根茎から白い根(白矢印)も出ている。なお上側の植物とは繋がっていなかった。 次に、花を拡大して見ると、花の中央部が緑色をしている。葉っぱの芽みたいだ。赤い花弁(舌状花)の下には葉か、萼か、苞か、沢山ある。益々分からなくなった。 5月5日、再度不思議な花の調査に行く。赤い花弁(舌状花)の内側に、小さい花のようなものが見える。赤紫色の矢印が筒状花のようで、黄色の矢印は花粉のようで、緑色の矢印は葉のようです。そして白色の矢印は舌状花と筒状花の間にある葉のように見えます。さらに中央部の尖ったものは葉か、花か、何だろう? 花の部分の作りはある程度分かったが、どうしても花の名前が分からないので、調査を続けて再度報告します。

溝ノ口岩穴(いわあな)祭り

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年月日 2025年4月6日(日) 場所 鹿児島県曽於市財部町(たからべちょう) 取材 吉川 益夫  森の行き止まりにある溝ノ口洞穴(どうけつ)のパワースポットで、毎年神秘的な踊りが岩穴観音様へ奉納されます。 この祭りは以前は道路が狭い、駐車場が狭かったことから大々的にPRされていませんでした。このため曽於市民でも見たことがない人が多いようです。 毎年4月8日のお釈迦様の誕生日に近い日曜日に、地元(中谷地区)の人達による岩穴(いわあな)祭りが開催されています。 さぁ、奴踊りを奉納する中谷小学校の生徒さんが鳥居側から踊りながら入場です。 以前は奴踊りと棒踊り・刀踊り(棒踊りと刀踊りは隔年奉納)が奉納されていましたが、人口減少や高齢化により、現在は奴踊りだけの奉納になりました。 奴踊りの歴史は古く、島津班が戦勝祝として始められたものが発祥とされています。戦勝を祝い、士気を鼓舞する子供達の姿が勇壮でかつ神秘的であります。 奴踊りの奉納は、郷土教育の一環として中谷小学校の生徒さんが担っています。 因みに、中谷小学校の生徒さんは今年度は17人で、内2人が転校生とのことでした。 奴踊りは1種類だけでなく多くの種類を踊っているようでしたが、どのくらいの種類があるか分かりませんでした。生徒さんも多くの種類を覚えるのは大変だろうと感心した次第です。また、前半と後半に別れており踊る回数が多かったので、じっくり堪能できました。 十分楽しんだ頃、奴踊りも終わりです。最後は踊りながら鳥居の方に帰って行きます。 一緒に行った義理姉等もパワースポットでの可愛い小学生の神秘的な踊りに大感動したとのことでした。 現在は道路も駐車場も整備されていますので、まだ見たことがない人は是非来年お出かけ下さい。 最後に、自然の浸食と崩壊により形成されたパワースポット・溝ノ口洞穴を紹介します。 この洞穴は国内最大級で長さ209mもあり、2021年3月に国の天然記念物に指定されています。祭りがなくても、国の天然記念物を見るだけでも価値がありますので、是非訪れて下さい。 それでは溝ノ口洞穴の岩穴観音様にハスの花を供えて終わります。    #溝ノ口洞穴      #溝ノ口岩穴祭り           #中谷小学校    ...

鳥の糞を楽しむ

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植物研究家 吉川益夫 調査場所 鹿児島県曽於市(そおし)   車で都城市に買物に行こうと車庫に向かったら!何だ?我が愛車に鳥の糞が落ちています。あぁー残念!急いでいたので、掃除をしないでそのまま都城市に向かいました。約10km離れている都城市に着いたので、再度鳥の糞を見たら、まだ落ちずにそのままあります。よく見たら白っぽくて透明感のある丸い種があります。ちょっと綺麗だなーと見取れてしまいました。10kmも走ったのに何故落ちなかったのだろう?それにこの丸くて綺麗な種は何だろうか? さて、この白っぽくて透明感のある丸い種が何だか分かりますか?分かった人は植物博士ですね。どうしても知りたいので、分からなかった人は私と一緒に探ぐりましょう。 まず、鳥の糞に混じっていたから、植物の実ではないかと的を絞りました。次は、今の時期(12月8日)にある木の実は何だろうか? 考えても分からないので植物調査に出掛けましょう。なお、小さな種は5~6mm位です。 それから糞が落ちていたのは、我が家のキンズ(金豆)の木の近くなので、キンズを疑いましたが、調べたらキンズではありません。キンズは知らない人が多いようですから、参考にキンズの実を紹介します。キンズはミカン科キンカン属ですが、小さく・不味いことから食べられません。観賞用です。大きさは南天の実より少し大きいと思って下さい。なお、別名は豆金柑(まめきんかん)とも言います。 下の写真はキンズの種です。調べると種は1個から4個入っているようです。種は下の写真のようなもので、探しているものとは違うようです。 種が美しかったので、どうしても知りたい一心から小さな実を探しに出掛けました。万両、千両、南天等を調査しましたが違うようです。 ある日コバルトブルーの美しい小さい実を見つけました。中の種を出したら探していたのにそっくりです。名前はジャノヒゲ(別名:リュウノヒゲ)です。 と言うことで、ジャノヒゲではないかと推察しました。 ジャノヒゲは知ってる人が多いと思いますが、果実があまりにも綺麗なので簡単に紹介します。 ジャノヒゲはキジカクシ科ジャノヒゲ属で、グランドカバープランツとして庭によく利用されています。花も実も小さく・下向きで・葉に隠れており、なかなか見つけることは難しいようです。 この他、下のような種も鳥の糞として落ちていました。これは万...

ミカンの謎解き

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植物研究家 吉川益夫 調査場所 鹿児島県曽於市(そおし) ミカンはどのような仕組みになっているのだろうか? ミカンの皮を剥くと外皮(オレンジや黄色)の内側に白いふわふわしているものがある。白いふわふわしている内側に円形に袋が並んでいる。その袋の中にまた小さな袋がもの凄くぎっしりと詰まっている。 では、外側からそれぞれの名称を確認してみよう。外側のオレンジまたは黄色の外皮がフラベド、白いふわふわしたのがアルベド、円形に並んでいる袋状のものが「じょうのう」、じょうのうの中に入ってる小さな粒々を「砂じょう」という。 下の写真を見て下さい。円形に並んでいる薄皮に包まれた部分が「じょうのう」、じょうのうの中にぎっしり詰まっている小さい粒が「砂じょう」である。 さて、リンゴ、モモ、カキは可食部が1つであるが、ミカンは可食部が数え切れないほど沢山の袋(じょうのう+砂じょう)から出来ているように、作りが非常に複雑である。 視点を変えると、リンゴ、モモ、カキは1つの花から1つの可食部が出来ているが、ミカンは1つの花から数え切れないほどの袋から可食部が出来ている。 では、ミカン1個の粒(砂じょう)の数はどのくらいだろうか? ミカンの1房(じょうのう)に含まれる粒(砂じょう)の数は、品種や大きさによっても異なるが、だいたい200~400粒くらいらしい。従って、ミカン1個の袋(じょうのう)の数を15個(※)とすると、ミカン1個の粒(砂じょう)の数は3,000~6,000粒という膨大な数になる。(品種等によっても異なる)     ※じょうのうを紹介している上の写真の袋(じょうのう)は15袋である ここで考えてしまった。3,000~6,000粒という膨大な数に栄養はどういうルートで届けられるのだろうか? 粒々に栄養を届けているのは常識的に考えて維管束であろう。維管束はどこを通っているかというと、下写真の中心部にある①腹側維管束は袋(じょうのう)数だけの本数があり、2つ目が各袋の背側を走る写真③の背側維管束でこれも袋数だけの本数があり、複雑な維管束のネットを張っているようだ。もう1つは袋と袋の間にある写真②のガク片維管束でこれも袋数だけの本数があるようだ。 ミカンの皮を剥くとどのように維管束が走っているか見てみよう。ミカンの外側に着いている白い筋が維管束である。維管束が大分千切...

初めての食用ショウガの花に感動

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植物研究家 吉川益夫 調査場所 鹿児島県 曽於市(そおし)  10月25日、義理姉が松永政子さんから貰ったと喜びながら固い感じの花穂(下の写真)を持ってきた。「これは何だー?」と質問する。うぅーん、見たことがないぞ。しかし、何かに似ているぞー。「ハナシュクシャ(花縮紗)」だと答えた。「残念、違う。食用ショウガ(以下、「ショウガ」という。)だよ。」と教えてくれた。ショウガの花を見たことがないので、この花穂を研究用に貰った。 ショウガの花は見たことがないので、どうしても花が見たい。ネットで片っ端から調べたらショウガの花は、日本では滅多に咲かないので、非常に珍しいらしい。日本で咲いたショウガの花は極わずかしかないようだ。ただし、この花穂状態まではまれに生育するようだ。 ショウガは熱帯アジア原産の多年生草本で、熱帯のタイではショウガの花が咲くとのことだったから、この蕾を花瓶に挿して暖かい部屋で観察することにした。花は固い苞で包まれているので、花が咲くには相当なエネルギーが必要と思われる。観察を続けるが、なかなか花の咲く気配がない。根がないので花が咲くのは無理だろうか? 11月2日午前10時、苞の中から蕾が一つ出ている。ひょっとしたら咲いてくれるのではと胸を膨らます。 11月2日午後3時30分、萼の中から花弁が見えた。どうやら咲いてくれそうだ。 全体は下の写真のとおりで、小さな葉2枚で何とか花を咲かせようと頑張っている。                                         11月2日午後3時50分、やっと花が咲いた。へぇー、これがショウガの花なんだ。もう大感動である。 花を正面から見るとこんな感じである。 この後も花は次から次に咲き始めた。下の写真のとおり、11月2日・3日に咲いた花も4日には閉じている。 今回は花瓶での観察であったからか、ショウガの花は午後遅く開き、夜早めに閉じてしまった。つまり、花はわずか3~4時間ほどで閉じてしまった。畑では、熱帯地方では何時間ほど咲き続けるのだろうか、気になるところだ。 義理姉が育てているショウ...