ヒガンバナの楽しい秘密
植物研究家 吉川 益夫 調査場所 鹿児島県曽於市 今年もヒガンバナ(彼岸花)の季節になりました。ヒガンバナやリコリスの写真を友達に送ったら多くの質問が寄せられましたので、それについて答えたいと思います。 今回は、それぞれの質問・回答の後に、我が故郷(曽於市)の水田の畦に逞しく咲くヒガンバナの風景を写真で紹介します。(※写真紹介では「彼岸花」と記載します) Q1.ヒガンバナの原産地はどこですか? A1.中国大陸が原産地です。何と、日本古来のものではなく帰化植物だったのです。 ①写真(水田を照らす、まばゆいばかりの彼岸花) Q2.ヒガンバナは日本全国にあるのですか? A2.北海道と東北地方を除く地域に自生しているとのことです。 ②写真(迫田(山の谷あいにある田)にひっそり咲く彼岸花が秋を感じさせる) Q3.ヒガンバナには毒があるのですか? A3.はい、有毒植物です。鱗茎(りんけい)と呼ばれる球根の部分が特に毒が強いです。だから球根の汁は手につかないように注意して下さい。 このため、昔はヒガンバナの毒に着目して、田んぼを荒らすネズミやモグラ・虫などがその球根の毒を嫌って避けるようにするため、畦に植えて田んぼを守ったのです。 また、昔は土葬でしたので、墓に埋められた遺体をモグラやネズミに荒らされないように周囲にヒガンバナを植えたようです。このため、ヒガンバナは墓にある花ということで不吉なイメージがついてしまった可哀相な花でもあります。 ③オレンジ色の夕焼け、黄金色になろうとしている水稲、赤い彼岸花は田園風景を際立たせる Q4.ヒガンバナとマンジュシャゲ(曼珠沙華)は同じものですか? A4.ヒガンバナの別名がマンジュシャゲですので、同じものということです。 調べたら、マンジュシャゲはサンスクリット語で「天界に咲く花」という意味で、「おめでたい事が起こる兆しに赤い花が天から降ってくる」という仏教の経典から来ているとのことです。 また、仏教の世界では秋の彼岸の時期に咲くことから、「あの世とこの世をつなぐ花」、あるいは「亡くなった人々を導く花」として、畏敬の念を持って扱われていたようです。さぁ、固定観念を捨てて、マンジュシャゲを素晴らしい花と見直しましょう。 ④畦に咲く彼岸花が水田をほのぼのと見守っている Q5.ヒガンバナには毒があるのに、昔は食べられていたというのは本当...